- 食事
若い女性の皆さん、魚介類は食べていますか?

最近、「頭が重い」、「目の奥が痛い」、「とにかくだるい」、「よく眠れない」などの症状がありませんか。
これらの症状は不定愁訴と呼ばれ、「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」1)によると、検査では異常が見つからないにも関わらず体調が悪い状態が続くことを指します。不定愁訴は男性よりも女性に多いことが言われていますが、今回、若い女性の不定愁訴に食べ物が関係していることが報告されましたので紹介します。
魚介類をよく食べる若い女性は、不定愁訴や抑うつが少ない?
Suzukiら2)は、18歳から27歳の女子大学生86名を対象に、食事摂取頻度についての調査や不定愁訴および抑うつについての質問票による調査を行っています。主な結果としては、不定愁訴が多い群と少ない群で、栄養素摂取量を比較したところ、不定愁訴が少ない群は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)といった不飽和脂肪酸やビタミンD、ビタミンB12の摂取量が多いことが示されました。また、食品では、不定愁訴が少ない群は、多い群と比べ、魚介類の摂取量が多いことも示されています。
以上の不定愁訴についての結果は、抑うつの程度の2群比較でも同様に示され、抑うつ程度の少ない群は多い群と比較して、EPA、DHA、ビタミンD、ビタミンB12、魚介類の摂取量が多いことが示されました。
EPAやDHAは、サバやブリ、イワシなどの青魚に豊富に含まれている不飽和脂肪酸で、中性脂肪を下げたり、血流を良くしたり、炎症反応の調整に役立つ栄養素です。また、ビタミンDとビタミンB12はいずれも魚などに多く含まれる栄養素で、ビタミンDは骨の代謝や免疫機能の調整等に関係し、ビタミンB12は赤血球を作ったり、神経の修復やDNAの合成等に関わる重要な栄養素です。
EPAやDHAは、サバやブリ、イワシなどの青魚に豊富に含まれている不飽和脂肪酸で、中性脂肪を下げたり、血流を良くしたり、炎症反応の調整に役立つ栄養素です。また、ビタミンDとビタミンB12はいずれも魚などに多く含まれる栄養素で、ビタミンDは骨の代謝や免疫機能の調整等に関係し、ビタミンB12は赤血球を作ったり、神経の修復やDNAの合成等に関わる重要な栄養素です。

冬場のビタミンD不足で抑うつが増える?
私たちは、抑うつとビタミンDとの関係について、季節性も加味した解析を報告しています3)。ビタミンDは、食事からだけではなく、日光(紫外線)によって体内で作られます。そのため、日照時間が短くなる冬場は不足しがちで、抑うつが冬場に多い背景としても指摘されています。
この研究3)では、年齢幅は21歳から67歳と上記論文2)より広めですが、地方自治体における健診結果(健診を7月に実施している自治体と11月に実施している自治体)をもとに調べた内容です。全体的な解析では明らかな関連を見いだせませんでしたが、11月に調査した結果においてのみ、血中のビタミンD濃度が高いほど、抑うつのリスクが減る結果を得ています(血中ビタミンDが低い集団に比べ、最も高い群では、抑うつを41%の抑制)。
冬は日照時間が短くなりますが、魚はおいしさアップ
これから冬にかけて、日照時間が短くなりビタミンDが日光から作られにくくなります。一方、冬の魚は脂がのりとても美味しい季節でもあります。魚介類をしっかり食べ、EPAやDHA、ビタミンDとB12を補い、不定愁訴や抑うつ気分を乗り越えましょう。

参考文献
1) 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳. https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1681/
2) Suzuki T, et al. Extent of Unidentified Complaints and Depression Is Inversely Associated with Fish and Shellfish Intake in Young Japanese Women. Nutrients 2025; 17: 1252
3) Nanri A, et al. Association between serum 25-hydroxyvitamin D and depressive symptoms in Japanese: analysis by survey season. Eur J Clin Nutr. 2009 Dec;63(12):1444-7.