2024.12.25
  • 運動

ふくおかで生まれた、スロージョギング®

ふくおかで生まれた、スロージョギング®

スロージョギング®は、福岡大学名誉教授・田中宏暁氏が提唱した、時速6km以下でゆっくり走る低速ランニングです。ウォーキングと同じ主観的なきつさで、エネルギー消費は1.6~2倍高いのが特徴。フォアフット着地や自然な姿勢で衝撃を抑え、効率的にカロリーを消費できます。研究では、スロージョギング®とウォーキングを組み合わせることで、有酸素能や筋力が向上する効果が確認されています。誰でも気軽に取り入れられる健康的な運動です。

スロージョギング®で効率的にカロリー消費 

 スロージョギング®は、田中宏暁氏(福岡大学名誉教授)が提唱した、ふくおか発のエクササイズです。横断歩道を渡る途中で青信号がチカチカ点滅し始めたとき、人は無意識に小走りになります。その時のスピード、すなわち時速6km 程度あるいはそれ以下でゆっくり走る低速ランニングをいいます。ランニングのイメージはきつい、私には無理、と思われがちですが、ゆっくりとトコトコ歩くようなスピードでランニングを行うと、主観的なきつさはウォーキングと変わりません(図1)。例えば、速度5km/h のスロージョギング®時の主観的なきつさは、ウォーキングと同じ「かなり楽である」を示します(ボルグのスケール)。ランニング時に“きつい”と感じるのはスピードが速すぎることが原因で、歩く速さと同程度までスピードダウンすると楽になります。

図1
図2

 スロージョギング®は、誰でもトライすることができる敷居の低いエクササイズですが、同じスピードでウォーキングするときに比べ消費するエネルギー量が高いという特徴があります。例えば速度3~6 (km/h)において、同一速度の場合スロージョギング®時に消費するエネルギー量は、ウォーキング時と比べて約1.6~2.0倍高い値を示します(図2)。普段からウォーキングをされている方は、1分程度のスロージョギング®をウォーキングの合間に数回取り入れてみてはいかがでしょうか。

衝撃の少ないフォアフット着地で走ることがポイント

 では、スロージョギング®のポイントをお示しします。まずフォアフット着地で走ること(図3のイラスト)、これはかかと着地に比べてソフトランディングで衝撃が少ないという利点があります。また、背筋はまっすぐ伸ばす、あごは軽く上げて目線を遠方へ向ける、地面は強く蹴らない、呼吸は自然に行う、肩の力を抜いて腕ふりは自然に行う、必要以上に跳び上がらない、歩幅は小さくピッチを意識(15秒で45歩程度を目安)して走るとよいでしょう。

図3

スロージョギングの動画をご参照ください

 平均年齢70歳の方を対象に、1分間のスロージョギング®(ニコニコペース®に相当する速さで実施)と1分間のウォーキングを組み合わせた運動トレーニングを、1週間で80セット、12週間行った無作為比較対照研究では、有酸素能(スタミナ)と下肢筋量の向上を認めています。誰もが気軽にできるスロージョギング®は、元気でいきいき、健康で過ごす時間を創造する効果的なエクササイズといえるでしょう。

人気コラム

関連記事