NEW 2025.08.31
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糖尿病とがん

糖尿病とは、体内に取り入れられた糖分がうまく利用されずに血糖値が上昇した状態であり、糖尿病特有の合併症(神経、網膜、腎)に加え動脈硬化による病気(心筋梗塞や脳卒中)を引き起こすことがあります。糖尿病は生活習慣と強く関連しており、近年の生活習慣の欧米化のためにその頻度が上昇し問題となっています。また、がんも生活習慣との関連が強い病気で、糖尿病とがんは生活習慣に関する共通の危険因子をもつことから、この二つの病気の関係が近年注目されています。
そこで、九州大学・久山町研究室では糖尿病とがんの関係について調べました。 久山町健診では糖尿病の詳細な検査方法である75g経口糖負荷試験を每年行っています。
この検査は75gの糖質を含むジュースを飲み、その前後で血液検査を行い、血糖値を測定するものです。図1のように空腹時の血糖値と糖負荷後2時間目の血糖値の組み合わせから、血糖値に異常がない正常型、糖尿病予備軍である境界型、糖尿病を診断することができます。結果をみると血糖値が正常の人と比べ糖尿病の人は、がんによる死亡のリスクが2.1倍高くなっていました。さらに、糖尿病予備軍である境界型の人でさえそのリスクは1.5倍高くなっていることが分かりました(図2)。つまり、糖尿病だけでなく境界型もがんによる死亡の危険因子だったのです。
したがって健診で血糖値が高めの方は、暴飲暴食を避け、定期的な運動を行うなど血糖値を上げないような生活習慣を心がけることが大切です。


