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月経前症候群(PMS)のつらさを食事で抑える可能性がある?

月経前になると、気分が落ち込んだり、イライラしたり、からだがだるくなったりしませんか。
こうした「月経前のこころとからだの不調」は、月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)と呼ばれています。
日本産婦人科学会のホームページ1)によると、PMSは「月経の前に現れるこころとからだの不調で」、症状は月経の3~10日間前から続き、月経が始まると自然に軽快・消失するのが特徴です。同ホームページによると、日本人女性の70~80%が月経前に何らかの不調を自覚しており、仕事に支障を来す方は就労女性の半数以上との報告もあり、PMSはとても身近なものであることがわかります。
では、PMSの症状を、毎日の食事で和らげることができるのでしょうか。
カルシウムや牛乳・乳製品が関係しているかも
福岡女子大学では、卒業生を対象とした調査を行っており、その一貫として報告されました。1995年以降に卒業した方々を対象に郵送法で調査を行い、390名を解析対象とした報告です。調査としては、簡易型自記式食事歴法質問票という、栄養疫学等の調査で広く用いられている食事の評価方法と、武田らが開発したPSQ (Premenstrual Symptoms Questionnaire)を用いて評価しました。
その結果、年齢や初経年齢、妊娠・出産経験などで調整したところ、以下の図1に示すように、カルシウムの摂取量が多いほど、また牛乳・乳製品の摂取量が多いほど、PMSの不調を感じる人は少ない傾向がありました2)。


▲図1 PMSとカルシウム摂取量および牛乳・乳製品摂取量との関係
なぜ、カルシウムや牛乳・乳製品が良いのか
今回の調査は「観察研究」と呼ばれる研究で、メカニズムまでは検証が難しいですが、先行研究を参照しますと、以下のことが考えられます。
月経周期において、図2に示しましたように、卵胞期に女性ホルモンであるエストロゲンがピークを迎えます。エストロゲンには、骨に対し骨吸収を抑制し骨形成を促進する作用があります。このため、カルシウムは骨に貯蔵されるようになり、血中カルシウム濃度を低下させる働きがあることが報告されています。更年期にエストロゲンの分泌が低下すると、骨吸収が促進し、骨粗鬆症になるリスクが増えるのはこのためです。
先行研究によると、PMSの方は、そうでない方と比べ、血中カルシウム濃度が低いことが報告されています3)。血中カルシウム濃度の低さが症状に関連していることから、日常的にカルシウムや牛乳・乳製品を摂取することで、PMSの症状が軽減する可能性が考えられます。このことは、PMSの方にカルシウム1000mgを含む食品(トルコ産の牛乳を原料としたカセリチーズ50g、牛乳400mL、ヨーグルト150gを毎日摂取)を8週間摂取した介入研究において、PMSの症状が緩和し生活の質が改善した、との報告からも裏付けられます4)。
PMSで普段きつい思いをしている方や仕事に支障を来している方は、牛乳・乳製品を普段の食事に意識して取り入れてみるのもひとつの方法かもしれません。もちろん、症状が強い場合は医療機関への相談も大切です。

参考文献
1)月経前症候群(premenstrual syndrome: PMS). 日本産婦人科学会https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
2) Nanri A, Sakanari M, Mantani H, Hirabayashi A, Furuse M, Yokote N, Nakamura M, Takeda T, Ohta M. Calcium, Vitamin D, and Dairy Intake and Premenstrual Syndrome: A Cross-Sectional Study. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2025;71(2):155-162.
3) Saeedian Kia A, Amani R, Cheraghian B. The Association between the Risk of Premenstrual Syndrome and Vitamin D, Calcium, and Magnesium Status among University Students: A Case Control Study. Health Promot Perspect. 2015 Oct 25;5(3):225-30.
4) Yurt M, Mercanlıgil SM, Kabaran S. Effect of dairy products intake in women with premenstrual syndrome: a randomized controlled trial. Progress in Nutrition, 2020;22(1): 137-145.