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こまめに立ち上がって血圧改善
檜垣 靖樹
医学博士。
福岡大学スポーツ科学部長。スポーツ科学部教授。
地域の人々の健康増進、健康寿命を延ばすことを目的に、「スロージョギング®」をはじめとした市民講座の講師を務めるなど、地域に密着した貢献活動を積極的に行っている。
米国カリフォルニア大学のHartman博士らは、日常生活の中に「立ち上がる」という動作を意識的に取り入れるだけで、血圧値の改善が期待できると報告しています。この研究では、55歳以上で過体重または肥満の閉経後女性407名を対象に、無作為に ① 普段通りの生活を続けるグループ、② 座る時間を減らすグループ、③ 座っている状態から立ち上がる回数を増やすグループの３つのグループに分けて、介入の前後で血圧値などについて調べています。
介入期間中は定期的に連絡をとって個別指導が行われました。注目すべき結果として、「③ 座っている状態から立ち上がる回数を増やすグループ」は、「① 普段通りの生活を続けるグループ」と比較して収縮期血圧値が3.33mmHgおよび拡張期血圧値が2.24mmHg低下しました。③のグループは、1日のなかで立ち上がる回数が介入前に比べて26回増加したとのことです。一方、②のグループは、1日のなかで座っている時間が75分減少しましたが、血圧値には明らかな低下を認めませんでした。
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、新たに「座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する」項目が追加されています。デスクワークなどで長時間座りがちな方は、30分ごとに一度、立ち上がる習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか？
出典：Hartman SJ et al, Impacts of reducing sitting time or increasing sit-to-stand transitions on blood pressure and glucose regulation in postmenopausal women: Three-arm randomized controlled trial. Circulation. 152(8), 492-504, 2025
